簡易実験場

徒然なるままに

ガーリッシュナンバー 感想

ガーリッシュナンバー(渡航 / 発行:株式会社KADOKAWA プロデュース:アスキーメディアワークス

f:id:T_mnk13:20160730062322j:plain

女子大生の千歳が、夢と野心を胸に飛び込んだ声優業界。

そこからトントン拍子に人気が出て――なんてわけもなく、おかしな業界のシビアな現実に直面中!

仕事なし×やる気なしの新人声優・千歳の未来はどうなる!?

主人公は千歳だが、その兄である悟浄もまたモノローグの担い手として物語を展開する。当初は主人公が千歳のみだと思い、百合展開になるのか…まあ、ありだな。何て考えていた俺が馬鹿みたいじゃないか。だが確かに主軸はブラコン気味の千歳、副軸を兄の悟浄にすると悟浄をラノベ主人公枠に嵌めることができ、百合展開なんてなくても通用するのですごく納得した。女の子目線ってどういう風に書くんだろうか…なんて考えていたけど、まあいつも通りちょっとやさぐれた感じの主人公だし、計算高さは某いろはすを彷彿とさせる……。内容はまあ、自分の想像する声優業界、というか声優という職業のイメージにより詳しい内部事情を説明される感じだと考えたら大体あってる。数ヶ所ほど大笑いする場面もあったし、わたりんの最近の傾向である巻末が面白いというのも健在。なんか巻末読んでると昔渡航日誌に書いてた業界用語のやつを思い出したし、本文でも出したアイマスネタを引っ張って「ふーん、アンタが私のプロデューサー?」なんて見た時には思わず失笑した。この本?まあ、悪くないかな…。

評価:B

 

恋をしてはいけないゲーム、振られてもきみに恋をする 感想

恋をしてはいけないゲーム、振られてもきみに恋をする(七鳥未奏 / MF文庫J

f:id:T_mnk13:20160726043828j:plain

ある日、神代求無の下に一通のメールが届く。それは、一年前に失踪した初恋の人との合言葉を記したメールで、世界の行方を占う《アカイイトゲーム》の開幕を告げるものだった。ゲームの影響で求無と惹かれ合う、不思議な力が芽生えた少女たち。疎遠だった幼なじみ、求無に恋する美人同級生、妹を自称する年下の女の子。彼女たちのいずれかと結ばれ、口付けをすれば世界は終わるということだが……? 恋を禁じられた少年と少女は、切なさの果てに何を求めるのか。「このままじゃ私、おかしくなっちゃう」。恋のゲームは幾重もの赤い糸を巻き取り、数奇な運命を紡ぎ始める。

MFかー。SF要素入りのラブコメかな?なんて思ってたら若干ミステリ要素まで入っていて驚いた。まずね、エロい。それと、女の子が可愛い。いや、表紙カバーですでにわかるわ!って言われるかもしれないけど、とりあえず言っておきたかった。あと、エロい。途中話がこじれてラノベ特有の中だるみ感が出るかと思ったけど、思いのほか小奇麗にまとめて話が展開されたので、そこもミステリ要素に次ぐ驚きだった。ラストは中盤からは考えられないくらいさっぱりしていて、かつ、ラノベらしさと次巻への引きの分量が絶妙。読了後の爽快感と言うか、「なるほどね…」なんて唸るような読後感、余韻なんてものが印象に残る本だった。 

評価:B

 

戦略拠点32098 楽園 感想

戦略拠点32098 楽園(長谷敏司 / 角川スニーカー文庫

f:id:T_mnk13:20160724013056p:plain

楽園と呼ばれる惑星の真実が明らかになった時、恐怖と感動がおそう

6スニーカー大賞金賞受賞千年以上も星間戦争を続ける二大勢力。サイボーグ兵ヴァロアは、敵の超機密惑星「楽園」へ降下する。だが、そこにいたのは、敵方の兵士一人と少女マリアだけだった。期待のSFロマン

 ヴァロアとガダルバ、敵同士であり異なる文化に生きる2人が、間にマリアを挟みながら、力を合わせてヴァロアの帰還のために大型爆撃機を修理する間に起こる人間ドラマが本作の主題だ。戦場への復帰を目指す、体のほとんどを機械化された兵士、無垢な少女、そして戦いを捨て墓守となった敵兵士。楽園で生活する中で蘇ってくる人間性と苦悩、葛藤。190ページ弱と控えめな文章量ながらも密度が非常に大きく、満足感を感じる作品。読んでいる最中、あとがきでもわかるのだが、世界背景が非常にしっかり作りこまれていて、両勢力の思想や文化、また戦法や兵器といったものまで入念に練りこまれている。その上で、敵兵2人が各々の信念を持ち、異文化との交流を果たす。これが意味するところは断絶である。互いへの理解が深まるごとにその間には確かな溝が広がり続けるのだ。なるほど戦争が終わらないわけだ。 

評価:B

僕と彼女のゲーム戦争 感想

僕と彼女のゲーム戦争師走トオル / 電撃文庫

f:id:T_mnk13:20160724012856j:plain

数年前まで女子校だった高校に転入した少年、岸嶺健吾。

周囲が女子ばかりというハーレム環境にもかかわらず、人づきあいの苦手な彼は、唯一の趣味である読書に没頭し、静かに暮らしていた。しかし、いままで無縁だった部活動に参加することになり、彼の高校生活は波乱万丈なものへと変わっていく・・・。

彼が入部したのは、現代遊戯部―つまりはゲーム部。美人生徒会長や変態教師という心強い(!?)仲間に支えられ、岸嶺は思わぬ才能を発揮するのだった。

平凡だった一人の少年の、刺激的なゲーマー人生が、いま幕を開ける!

ゲームを題材にした作品って大体FPSに落ち着くイメージがあるものですが…どうやらそうでもないみたいで、様々なジャンルのゲームを主軸に据えて物語が展開されるのでとても面白いですね。たまにナメんなって思うくらい成長する主人公ですが才能ある人ってこのくらい伸び幅あるのかな……と自分のプレイヤースキルのなさと比較して勝手に落ち込んだりしてる私です。作中に登場するゲームは知らない物からプレイ済みの物まで登場して興味が尽きませんし、今後も目が離せませんね!ただこの作品、言うほどそうでもないと思いますが、好みが分かれるかと。特に主人公に自己投影しちゃう人とゲームのゲの字も知らないなんて人は注意です。ただ、ゲームを知らずに置いてけぼり…なんてことはないはず。

評価:A

 

妹さえいればいい 感想

妹さえいればいい(平坂読 / ガガガ文庫

f:id:T_mnk13:20160724012730j:plain

 

妹バカの小説家・羽島伊月の周囲には、いつも個性的な連中が集まっている。愛も才能もヘビー級、残念系美少女のハイエンド・可児那由多。恋に悩み友情に悩み夢に悩む青春三冠王・白川京。鬼畜税金セーバー・大悠アシュリー。天才イラストレーター・ぷりけつ―。それぞれ迷いや悩みを抱えながらもゲームをやったり旅行に行ったり仕事をしたり賑やかな毎日を繰り広げる伊月たち。そんな彼らを温かく見守る完璧超人の弟・千尋には、大きな秘密があって―。『僕は友達が少ない』の平坂読が放つ青春ラブコメの到達点、堂々開幕!!

へ、変態だー!!真っ先に抱く感想はこれに尽きる。そして次に、ああ、平坂読の作品だわ…。と納得することだろう。実は私、平坂読の作品は面白いと思うけれど嫌いなんですよね。理由は多々あるんですけどそれは置いといて…まあ面白いからいいやの精神で読むので結局読んでんじゃねーか!ってなるけれど。本作、キャラクターの軸がはっきりしていてスッキリしている点はすごくいい。伊月ことド変態の妹ジャンキーの主人公とド変態の作家仲間、そしてその中に咲く一輪の花、京ちゃんと共にラノベ作家達の日常を面白おかしく描かれている。それが面白い。けどやっぱりどこか嫌いなんだよなあ。 

評価:B+

吸血鬼になった君は永遠の愛をはじめる 感想

吸血鬼になった君は永遠の愛をはじめる(野村美月 / ファミ通文庫

f:id:T_mnk13:20160724012557j:plain

バスケの強豪校で練習に打ち込んでいた詩也。けれどある日、彼は人ではないものになってしまった・・・。

人を遥かに超える身体能力を得たため、バスケも続けられず転校したその先で、詩也はマリア様を思わせる綺麗な先輩に出会い、告げられる。

「わたしと、おつきあいしてください」

―つれていかれた先は演劇部。

こで詩也は、何と先輩のパートナーとしてドラキュラを演じることになってしまい・・・!?

ドラマティック青春ノベル、ここに開幕!!

演劇の話とこの物語のストーリーをうまく繋げる様は圧巻の一言。少女漫画をラノベにした一つの完成形ともいえるクオリティ。流石です。 

評価:B+

ゲーマーズ! 感想

ゲーマーズ!葵せきな / 富士見ファンタジア文庫

f:id:T_mnk13:20160724012433j:plain

毎晩ベッドの中では異世界へ勇者として召還される空想を描く程度の、ごく平凡な男子高校生の雨野景太。唯一といえる趣味はゲーム。とある放課後にゲームショップで何気なくギャルゲーを手にとって眺めてみたら、同じ高校の制服を着た美少女から声をかけられる。ブロンドのロングヘアー、淡いブルーの大きな瞳。学内ヒエラルキーの頂点に君臨する彼女の名前は天道花憐。「雨野君、キミさ、好きなのかな?」──ゲーマーたちの勘違い錯綜青春ラブコメ、開幕!?

ヒロインがすごくチョロ可愛い。チョロすぎる。最強のチョロインと言っても過言ではない…。チョロインはひとまず置いといて、内容はすれ違いがすれ違いを呼ぶコントのような甘いラブコメアンジャッシュか!人間関係がこんがらがって、勘違いが至る所で発生するカオスな状況。そして真実を知る者がいない絶望感。解決に至るまでの過程が楽しみですね!(ゲス顔)ただ、クラスメイトとかモブキャラが人形のようだな…と。無駄に囃し立てたり、上原君の人間関係に至ってはかなり付き合いが悪くなってそうなもんだけど、君たちはそれでいいのかと。まあこれ以上ややこしくなっても困るけど……。各キャラがしっかりと成長する点はほっこりしますね。果たしてこの感情は合ってるのだろうか……。 

評価:B+