簡易実験場

徒然なるままに

女の子が完全なる恋愛にときめかない3つの理由 感想

女の子が完全なる恋愛にときめかない3つの理由(土橋真二郎 / 電撃文庫

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男女の恋愛感情を利用して学内で莫大な利権を得ようと目論んだ神崎京一は、仲間の裏切りにあい、所属サークルを追放されてしまう。

 実はこの学校には、男子には見えない恋愛に関する“女子の裏ルール”が存在し、男子は密かに格付けされていた。さらに、恋愛ビジネスを生業とする裏の集団まで存在し、利権を牛耳っていたのだ!

 再び学内でのし上がるため、神崎は新たに恋愛コンサルタント業を立ち上げるが、そんな彼に付いてきたのは、恋愛に夢見がちな頼りない少女、鈴木夕凪だけで!?

 恋愛はビジネスだ! 女の子しか知らない秘密の恋愛ルール、教えます!!

 金と欲望、そして《真実の愛》を描いた、土橋真二郎、待望の新シリーズが登場!

 これを読めば貴方もモテモテ間違いなし!?

 重たい。話の重量的にもそうだし、扱ってるテーマ自体がすでに重たい。基本的には内容は現在の日本の女性に対する考えの世論や風潮のアンチテーゼとなっている。女性の利権の獲得により形成された女尊男卑社会。その支配体制の形成は近い未来に訪れているのかもしれない、あるいはすでに…なんてことを考えさせられる。そしてなんといっても土橋真二郎といえばジレンマ。今回も大活躍である。好きだなあ……。

評価:B

恋は光 感想

恋は光(秋★枝 / ヤングジャンプコミックス)

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恋の光が視えてしまう大学生・西条は、恋を探求する女の子・東雲に恋をした――。

視えるからこそ切なくて苦しい。今までにないラブストーリーが始まる。

ページを開いた瞬間に思ったね。キタなこれ。女の子可愛い。

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メインヒロインはこの子ですね。間違いない。表紙?知るか。この北代さんでいいよ。むしろ北代さんがいい。だが、数ページ読み進めるとどうやら北代さんは幼馴染ポジションらしい。なに?作者は悪魔か何かなの?幼馴染ポジのキャラが好きな俺としては最序盤に出てきてるのに表紙じゃないってだけで怒りがはち切れんばかりだ。おいおい作者さん……わかってるよな?お?とばかりに厳しい目で読み進めることにしよう。あとで散々なレビューでも書いてやるんだ……!

本筋に戻ろう。物語は主人公・西条に視える光についての疑問を解くために進む。西条自身光が何なのかわかってない。とりあえず“恋”と仮定している状態である。登場人物、読者共にスタート地点は同じというわけだ。大体後になると読者はわかっていて登場人物だけわからないとかいう展開になるあのパターンである。ミスリードして読者を驚かせる展開もあるあのパターンだ。ここらでキャラクターも登場させる。知ってる。

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ほーん…。

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ほーーーーーーん。……いいよね。無垢な女の子って。可愛いし。そういえば俺幼馴染キャラって過去読んだすべての本でいつも2番目に好きなんだよな。

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浮世離れしているが自分との共通点を持った東雲に興味を持ち、ここから光の謎の追求と恋愛が並行して進められる。ただ光ありきで行うので、普通のラブコメとは少し違う。バランスが取れてる。謎だけを先延ばしにして延々とラブコメを続けるようなことはできないのである。首飾りの錠に合うカギを探すだけなのに延々と話が進まないということは無いのである。話の本筋とも関係なくハーレムでも作る気なのかだらだらと話数だけが増えるような作品とは違うのだ。閑話休題

恋愛と“光”をうまく絡めて話を作り上げている様はさながら小説のようで、むしろ小説をうまく漫画に落とし込んだ形なのかもしれない。主人能の視る光がこの作品の恋愛における重要なファクターとなっているが、基本的にはラブコメだ。なるほど“恋は光”とはうまく言ったものだ。やっぱり僕は北代さんが好きです。

評価:A

そんな世界は壊してしまえ 感想

そんな世界は壊してしまえ(さがら総 / MF文庫J

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人類の『敵』――“アンノウン"の襲撃により世界が崩壊した近未来。湾岸防衛都市東京の学園に所属する朱雀壱弥は――人類を愛しすぎていた。全人類の発展 のため、美少女の告白をバッキバキに叩き潰し、戦わない同級生の心をボッキボキに叩き折る。デート? カップル? それはこの世界でどんな意味が? なにもかもを論理で語れ。自分の正義を信じてやまない朱雀に、謎の転校生少女の調査任務が与えられ……? 「人類が好きか?」「大好きです! 」「なんでもできるか?」「なんでもします! 」ポジティブクズとドM天使が出会い、新たなる変態ストーリーの幕が上がる――!
変態王子と笑わない猫。』コンビが贈る青春ラブコメの最前線! 刮目せよ!

さがら総のヒロイン特有の頭のおかしさが爆発した作品。文章自体は癖がなくしっかりしているので読みやすいのだが、キャラクターの個性が強すぎてすごく癖のある本になってしまっている。もうね、何なのこの人。ヒロインの頭を残念にするかおかしくしなければ満足できないのか。クオリディアコードの世界観を掴むにはまあ役に立つが…。主人公の朱雀壱弥はあらすじではポジティブクズだなんて評されてはいるものの、実際のところはあまりそう感じなかった。まあクズと金貨のクオリディアを読んだ直後に読み始めたってのもあると思うが。ありがちな設定と縛られた土台からよくもまあここまで自分の世界を展開できるものだななんて感心するばかりで終始圧倒される一冊。

評価:C

 

クズと金貨のクオリディア 感想

クズと金貨のクオリディア(渡航さがら総 / ダッシュエックス文庫

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底辺高校生・久佐丘晴磨と、天使のような後輩・千種夜羽。同じ階層にいられるはずのなかった二人は、とある偶然をきっかけに接近してしまう。

異常気象、異常現象、異常行動……少しずつ歯車が狂いだしていく二人の日常と奇妙な都市伝説。曰く「ランダム十字路」――真夜中、突き当たった丁字路で誤った道を選ぶと、二度と帰ってこられない。

行方不明の女子を成り行きで一緒に追うなか、晴磨と夜羽の思惑は大きくすれ違い……!?

レーベルを超えて広がる新世代プロジェクト第一弾!これはふたつの視点から紡がれる、終わりゆく世界とめくるめく青春の物語――。

あとがきが一番面白いとか一体何なんだこの本は。あと合作ということでクオリティが数段落ちるかと思ってたけど、案外うまいこと噛み合ってて面白かった。話の内容は深いのか浅いのか結局わからなかったけどね。多分、細部は深くて全体で見たら浅い。ただ、晴磨が夜羽を助ける動機はわかるんだが、晴磨の性格で行動に出るにはまだ材料が弱いんじゃないかとは思った。ここは受け付けられない人が出てきても仕方ないし、実際そういう人もいるからよろしくない。よはねすは金の亡者ゲスかわいいしよはねすフィルターを通せば世界は金色!

評価:C+

 

ガーリッシュナンバー 感想

ガーリッシュナンバー(渡航 / 発行:株式会社KADOKAWA プロデュース:アスキーメディアワークス

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女子大生の千歳が、夢と野心を胸に飛び込んだ声優業界。

そこからトントン拍子に人気が出て――なんてわけもなく、おかしな業界のシビアな現実に直面中!

仕事なし×やる気なしの新人声優・千歳の未来はどうなる!?

主人公は千歳だが、その兄である悟浄もまたモノローグの担い手として物語を展開する。当初は主人公が千歳のみだと思い、百合展開になるのか…まあ、ありだな。何て考えていた俺が馬鹿みたいじゃないか。だが確かに主軸はブラコン気味の千歳、副軸を兄の悟浄にすると悟浄をラノベ主人公枠に嵌めることができ、百合展開なんてなくても通用するのですごく納得した。女の子目線ってどういう風に書くんだろうか…なんて考えていたけど、まあいつも通りちょっとやさぐれた感じの主人公だし、計算高さは某いろはすを彷彿とさせる……。内容はまあ、自分の想像する声優業界、というか声優という職業のイメージにより詳しい内部事情を説明される感じだと考えたら大体あってる。数ヶ所ほど大笑いする場面もあったし、わたりんの最近の傾向である巻末が面白いというのも健在。なんか巻末読んでると昔渡航日誌に書いてた業界用語のやつを思い出したし、本文でも出したアイマスネタを引っ張って「ふーん、アンタが私のプロデューサー?」なんて見た時には思わず失笑した。この本?まあ、悪くないかな…。

評価:B

 

恋をしてはいけないゲーム、振られてもきみに恋をする 感想

恋をしてはいけないゲーム、振られてもきみに恋をする(七鳥未奏 / MF文庫J

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ある日、神代求無の下に一通のメールが届く。それは、一年前に失踪した初恋の人との合言葉を記したメールで、世界の行方を占う《アカイイトゲーム》の開幕を告げるものだった。ゲームの影響で求無と惹かれ合う、不思議な力が芽生えた少女たち。疎遠だった幼なじみ、求無に恋する美人同級生、妹を自称する年下の女の子。彼女たちのいずれかと結ばれ、口付けをすれば世界は終わるということだが……? 恋を禁じられた少年と少女は、切なさの果てに何を求めるのか。「このままじゃ私、おかしくなっちゃう」。恋のゲームは幾重もの赤い糸を巻き取り、数奇な運命を紡ぎ始める。

MFかー。SF要素入りのラブコメかな?なんて思ってたら若干ミステリ要素まで入っていて驚いた。まずね、エロい。それと、女の子が可愛い。いや、表紙カバーですでにわかるわ!って言われるかもしれないけど、とりあえず言っておきたかった。あと、エロい。途中話がこじれてラノベ特有の中だるみ感が出るかと思ったけど、思いのほか小奇麗にまとめて話が展開されたので、そこもミステリ要素に次ぐ驚きだった。ラストは中盤からは考えられないくらいさっぱりしていて、かつ、ラノベらしさと次巻への引きの分量が絶妙。読了後の爽快感と言うか、「なるほどね…」なんて唸るような読後感、余韻なんてものが印象に残る本だった。 

評価:B

 

戦略拠点32098 楽園 感想

戦略拠点32098 楽園(長谷敏司 / 角川スニーカー文庫

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楽園と呼ばれる惑星の真実が明らかになった時、恐怖と感動がおそう

6スニーカー大賞金賞受賞千年以上も星間戦争を続ける二大勢力。サイボーグ兵ヴァロアは、敵の超機密惑星「楽園」へ降下する。だが、そこにいたのは、敵方の兵士一人と少女マリアだけだった。期待のSFロマン

 ヴァロアとガダルバ、敵同士であり異なる文化に生きる2人が、間にマリアを挟みながら、力を合わせてヴァロアの帰還のために大型爆撃機を修理する間に起こる人間ドラマが本作の主題だ。戦場への復帰を目指す、体のほとんどを機械化された兵士、無垢な少女、そして戦いを捨て墓守となった敵兵士。楽園で生活する中で蘇ってくる人間性と苦悩、葛藤。190ページ弱と控えめな文章量ながらも密度が非常に大きく、満足感を感じる作品。読んでいる最中、あとがきでもわかるのだが、世界背景が非常にしっかり作りこまれていて、両勢力の思想や文化、また戦法や兵器といったものまで入念に練りこまれている。その上で、敵兵2人が各々の信念を持ち、異文化との交流を果たす。これが意味するところは断絶である。互いへの理解が深まるごとにその間には確かな溝が広がり続けるのだ。なるほど戦争が終わらないわけだ。 

評価:B